2012年でボクの透析生活は丸十五年に達する。幼少期から病弱児であったが、透析のために生まれて初めて身体にメスを入れた。この十五年の間に大きな手術を4回も受けた。手術は出血を伴うし、相当に体力を損ねる。
週に三回の透析を受けながら、45歳で起こした会社の経営と、その傍らモノカキを始めて、08年には世界年間最多のノベル作家としてギネスに認定も受けた。
そして今や、嫌な言葉だが、後期高齢者・78歳という、本人が信じられない年寄りになった。
こんな身体の体験を重ねた人間だからこそ、知りえた「身体の科学」がある筈だ。
特に
タンパク質の構成素材、アミノ酸の何たるかを知れば、殆どの「身体の科学」が理解できてくる。何度もメスを入れたことで得た、知識の積み重ねを書いて見よう。同年齢に限らず参考に成ればと願う。
人体を構成する最も重要な栄養素はタンパク質。
筋肉・骨格・血液・体液・内臓・酵素・ホルモンのすべてがタンパク質。
それを構成するのがアミノ酸である。
例えば
「酵素」。
人体を動かし、新陳代謝を行なう上で、必ず酵素が働く。その数は最低でも2500種に上る。しかも
「酵素」は一回の使用で終わる。だから体内では、絶えず酵素を作り続けているのだ。
身体について相当に勉強した筈のナースが、意外に酵素について知らない。
一般人が「酵素液」の類に「美容」「ダイエット」の名前で飛びつく所以である。どんなに美名を並べても、美容液に酵素なんか殆ど存在しない。最低でも2500種類もの酵素が、得られる道理もない。
中高年以降の身体に起きる異常は、「酵素」を学ぶ事で殆ど解決する。
人が毎日摂取する三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の中で、タンパク質だけが分子が大きい。酸素・水素・炭素の他に窒素も含む栄養素はタンパク質だけだ。
高分子はそのままでは身体が吸収できない。だから、より小さいアミノ酸に分解してから吸収するのだ。
アミノ酸が幾つか集まって身体の細胞を作る。その細胞が何十万、何百万、何千万と集まって、臓器や筋肉などが出来る。
その製造の工程に関与する酵素も、またアミノ酸を集めて体内で作る。
出来た酵素は、そのままでは起動しない。必ず
「補酵素」という作業員が操作して、そこで初めて起動するのだ。
「補酵素」として働くのが、主としてビタミン・ミネラル類である。ビタミンを取る目的は酵素を動かす為と言ってもよい。ミネラルの中でも、マグネシウムや亜鉛が、微量ながら必須なのも同様。
先日のNHK「ためしてガッテン」で取上げた、初期アルツハイマー症も脳の記憶装置「海馬」の部分に貯まる、インスリンが原因で起きた。人体に2500種以上もある、酵素の中にちゃんと「インスリン分解酵素」もあると、最後はメデタシメデタシで終わった。
高血糖に成らぬよう、日頃から食事に気を配っていたら、高血糖は防げる。炭水化物を摂りすぎるから、インスリンが大量発生する。その一部が「海馬」にも貯まると、アルツハイマー性痴呆の始まりだ。良質のタンパク質を摂っていたら、必須アミノ酸が充足し、インスリン分解酵素が脳を守ってくれると言うわけ。